遺品。
ボディには「J-B7」と「J-E44」の二つの型版のような文字列が書かれている。ネットで調べると同じ文字列が書かれた別の双眼鏡があるようで、正式な型番は分からない。
分解清掃すると視界は良好。フォーカス、視度調整は適度な抵抗になった。
初稿
左眼から分解する。接眼部を手で回して外す。
更にカニ目を回して外すとレンズユニットごと外れる。
ユニットの裏のレンズを清掃するとキレイになった。
右目側も左眼と同じく接眼部を外す。
すると左眼とは違い、丸部分にセットビスがある。このセットビスは接眼部と視度調整部を固定する役割。
セットビスと緩めるとカニ目を回して外せる。
視度調節リングのギザギザになった部分が現れる。
ギザギザ部と、本体から出ている2つのピンが噛み合っている。この位置を記録しておく。これは視度調節指標の0位置調節用。
リングは揺らしながら引っ張ると外れる。
視度調整リングの内側(青矢印)に段差がある。これが緑矢印の段差と当たって視度調整リングの回転制限になっている。
次にレンズユニットを回して外す。ヘリコイドグリスが固いのでゴムシートを使った。1条ネジなので記録の必要はない。
レンズユニットはオイルで全体が汚れている。外したレンズユニットを裏返してレンズを取り出す。
裏返したところ。カニ目の押さえリングを外す。
裏返して一気に中身を取り出した。
取り出したレンズを左から並べた。
1つ目は貼り合わせレンズで、接眼側が厚い。元はコバが黒く塗られていたようだ。
2つ目はレンズ保持リングで、接眼側が狭まっている。
3つ目は単レンズで、接眼側が凸。
4つ目は外した先程外した押さえリング。
レンズを清掃すると曇りが解消した。
グリスはカメラレンズ用では軽すぎたので、三脚用のもの(スタジオJin GR-01)を使用した。最初は二眼レフ繰り出し用のグリス (ジャパンホビーツール#3000) を塗ったが、さすがに重すぎた。
対物レンズを分解していく。左右とも同じ構造。
ローレットの押さえリングを回して外す。ゴムアダプタを使用する。
レンズユニット外周側に銀色の偏心リングがある。
これは光軸調整用。これがずれると左右で像が一致しなくなる。取り外す前に角度を記録しておく。
記録しなくても調整は難しくない。少しずつ回しては覗くを繰り返すとそのうち一致する。
接眼レンズを外す。側面にあるセットねじを緩める。
レンズユニットが外れた。前後から清掃すると曇りが解消した。一部、カビがあった部分は完全にはキレイにならなかったが、実用上は問題ないだろう。
接眼側のプリズムを分解していく。
ネジx4を外してカバーを外す。
カバーと本体は接着されていた。接着剤はカバーの周りをぐるっと一周している。ホコリの侵入を防ぐ意味合いだろうか。組み立て時は接着剤を省略した。
カバーの裏側にはプリズムを抑える板バネが接着されていた。弱っていたので接着しなおした。
プリズムを外した。方向性はなく対称だとは思うが、組み立て時は一応元の通りに取り付けた。
ガラスクリーナーで清掃するとカビを除去できた。
対物側のプリズムも同様に分解していく。
こちらもカバーは接着されていた。
プリズムは接眼部のグリスで汚れていたが、ガラスクリーナーで清掃できた。
フォーカス部を分解していく。
大きな飾りネジを外す。
金色のネジを外す。フォーカスの繰り出し制限用。
カニ目リングが出てくる。
これはヒンジの重さを調整するもの。側面にあるセットねじを緩めると回すことができる。必要なら調整する。
フォーカスリングを右に回して繰り出していくと4回転で対物側が外れる。
外したところ。
組み立て時はフォーカスリングをいったん締め込み、4回転戻してから対物側をリングに押し付け、再度リングを締め込む。対物側の筒がはまるように角度を調整すること。
ここを間違うと無限遠が出なくなる。
ヒンジ部分は分解方法が分からなかった。
全体を清掃してグリスを塗りなおし、組み立てれば完了。
グリスは視度調節部と同じものを使用した。