Nikon NIKKOR-Q・C Auto 135mm F2.8の修理

遺品。

初期症状

目次

試写


α7Ⅲ + K&F Concept NIK(G)-NEX
blogの試写


(2019/4/30)
初稿


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分解

フードを伸ばすと見えるネジを外す。この個体は全体に接着剤が多用されていた。アセトンで緩めながら外す。

ネジを外すとフードの根本が回るようになり、フードごと外れる。



外した。



距離環を近距離側に繰り出すと、セットネジが見える。このネジを外すと、レンズユニットの押さえリングが回せるようになる。



押さえリングを外した。そのままレンズユニットが前方向に抜ける。



外した。矢印のリングに注意。



リンク箇所を確認する。鏡胴側のフォーク状部品は絞り込み用。



鏡胴側の絞り込みフォークはヘリコイド側の丸印の部品とリンク。こちらはバネで絞り込み状態になっているので、組立時は鏡胴側も絞り込みにしておく。



鏡胴側の絞り操作ピン。



絞り操作ピンはヘリコイド側の丸印の絞り操作環の一部とリンク。



マウント側から分解していく。一応、絞りの初期位置をF22としておく。

デジタルのみで使用予定なので、カニの爪は外して保管し、ネジのみレンズに取り付けておく。



マウント環のネジx5外す。どうしても外れないものが一つあったので、やむなくドリルで破壊した。

後で1.6mmの下穴を開け、2mmのタップを購入してネジ山を切り直し、M2の低頭ネジを取り付けた。タップを使うのは初めてだったが、小さい径で浅い穴なら難しくはないようだ。



外した。



マウント環の絞り込みレバーはボールベアリングで動いている。

矢印の黄色い接着剤が塗られたリングで固定されているように見える。今回は外さないが、外す必要がある場合は多数の鋼球に注意。



絞り環を外す。ネジx1を外すと後ろ側に抜ける。このネジは貫通ネジで、内部の絞り操作環とリンクしている。



外した。クリック感部分のグリスを清掃する。組立時は新しいグリスを塗る。



ネジがリンクしていた穴。



距離環を外す。ネジx6。前側に抜ける。



外した。



指標環を外す。ネジx3。前側に抜ける。



外した。



ヘリコイドの分離とグリス塗替え

(B)中ヘリコイドを掴んで無限遠にする。ヘリコイドの無限遠での位置関係を記録するため、(A)内、(B)中、(C)外の各ヘリコイドを一直線にケガく。(A)は制限金具が、(B)はネジ穴があるので、そこは少し避ければよい。



無限側の制限は、(B)の制限金具(B1)と(A)の制限金具(A1)がぶつかる。



(B)を右に回して近距離側にする。近距離側の制限は、(A1)と(B1)が先ほどとは反対側からぶつかる。

ヘリコイド分離のため、(B1)を外しておく。ネジx2。外すのは(A1)でもいい。今回は両方共外した。(A1)に方向性はないと思うが、念の為上方向をマーキングしておく。



(A2)は直進キー。直進レールは(C)に直接切られている。丸印は直進キーの固定ネジで、無限遠から(B)を近距離方向に少しだけ回すと、穴からネジの頭が見える。

ヘリコイドを分離していくため、このネジを外す。(A2)直進キー自体はこの時点では間に挟まっていて取れないので置いておく。



(B)を(C)に対して左回りに締め込む。止まって位置で(C)の無限ケガキに合わせ、(B)に終端位置を示す二本線のケガキを入れる。この場合はすぐに止まった。組立時は一旦(B)を締め込んで、このケガキが合うことを確認する。

(B)を抜く前に(A)の終端位置も記録すべきだったが、忘れてしまった。本来は(A)を右回りに締め込んで、止まった位置で(B)の無限ケガキに合わせて(A)に終端ケガキをする必要がある。

記録したら(B)を右に慎重に回して外していく。



外れた瞬間の位置で、(C)の無限ケガキに合わせて(B)に外れ位置を示すV字のケガキを入れる。この場合は1回転半ほどで抜けた。



抜いたところ。ヘリコイドの線状にはモリブデングリスが塗られていた。以前の修理者によるものだろう。



外ヘリコイドに残った直進キーを回収しておく。組立時はキーとレールの擦れる部分にグリスを塗る。



外ヘリコイド内にある矢印の絞り操作部品を外したい。カニ目の押さえリングで固定されているので、これを外せばよいだろう。

この個体は溶剤が効かない接着剤で固定されており外れなかった。この部品は外さなくてもヘリコイドを洗浄できるので、このままにする。



(A)を左に回して慎重に抜いていく。



通常は抜けた瞬間の位置で、(B)の無限ケガキに合わせて(A)に外れ位置を示すV字のケガキをする。

しかしこの場合は無限位置からちょうど2回転で外れたので、外れ位置は無限ケガキとする。



ヘリコイドが分離できた。ベンジンとブラシで古いグリスを落とし、新しいグリスを塗る。ジャパンホビーツールの#10を使用した。組立時は先に外ヘリコイド内に直進キーを入れておくのを忘れないように。



レンズ清掃

レンズを清掃する。前群を手で掴んで回して外す。



外した。



前群の後ろ側に綿状のカビが露出した。清掃する。

内部はきれいだったのでレンズ単体では取り出していないが、前玉は押さえ環を、中玉はカバーを掴んで回して外せばいいだろう。このカバーは接着されているので、サイドの穴からアセトンを注入して緩める。



後群を清掃する。カバーを掴んで回し、外す。



絞りユニットと後群が分離した。後群はレンズ一枚のみ。このままでも清掃できるが、レンズ単体で取り出す場合は、カバーを掴んで回せば良い。接着はアセトンで緩める。



外したところ。後玉は前側が強い凸で、後ろ側は平坦に近い。清掃して組み立てれば完了。


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