Nikon Micro-NIKKOR-P・C Auto 55mm F3.5の修理

遺品。

初期症状

目次

試写


α7Ⅲ + K&F Concept NIK(G)-NEX
blogの試写


(2019/4/30)
初稿


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分解

邪魔なのでカニの爪を外しておく。



デジタルカメラで使用予定なので、カニの爪は保管してネジだけレンズに付けておく。



マウント環外す。ネジx5。接着ドメが多用されているので、以下、ネジはアセトンで緩めてから外すこと。



外した。マウント環は左右に返した。丸印同士の絞り込みレバーがリンクしていた。この時点でヘリコイドグリスがまわっていたので、ここからは清掃しながら分解していく。



ネジx1を外すと絞り環が外れる。クリック感は板バネのなので気をつけなくてよい。



外した。絞りのクリック感周辺のグリスを清掃する。組立時は新しいグリスを塗布する。

外したネジは長いもので、これで内部の絞り操作穴とリンクしていた。



ネジがリンクする穴。組立時はネジをここにリンクさせる。



穴の位置は、マウント側から見えている丸印の切れ込みと一致している。これを見ながら組み立てると良い。



後玉がむき出しになったので、保護するため距離環を近距離側にした。

距離環の滑り止めゴムをヘラなどを使ってめくる。接着剤が真ん中あたりに一周分付いているので、エタノールで緩めながら剥がす。



剥がしたら古い接着剤を除去する。



ゴムの下には距離環を固定するネジx3がある。これを外すと距離環が前に抜ける。距離感と中ヘリコイドは位置調整要素がないのでそのまま外してよい。



外した。ヘリコイドが見えた。

距離リングの内側はネジ穴周辺が接着剤だらけになっていた。溶剤に耐性のある接着剤だったので、ヘラで削り落とした。



距離環の制限の構造を見ておく。近距離側の制限は、写真左の内ヘリコイドの金具(1)と、右の距離環の段差が当たるようになっている。




無限側の制限は、先の近距離用の金具(1)と中ヘリコイドの金具(2)が当たる。



分解を続ける。指標環を外す。ネジx3。



外した。指標環の内側も、ネジ穴部分から接着剤がはみ出していた。



前カバーを外す。セットネジx1を緩めると、カバーを掴んで回せるようになる。

固かったので矢印の隙間にエタノールを流し込んだ。プラハンマーで1,2分叩き続けると回った。



外した。



カバーを外すとレンズユニットがごっそり抜ける。分解の最初にレンズユニットを外しておくのが良さそうだ。

丸印のネジは偏心ネジらしい。調べていないが、絞りか距離の微調整用だろう。



抜いた。レンズは前側を下に置いた。

写真右、ヘリコイド側のスリットが、写真左、レンズ側の絞り操作ピンとリンクする。このスリットは絞り環とリンクしていた穴と連動している。



ヘリコイドの分離とグリスの塗替え

ヘリコイドを分離していく。無限遠でのヘリコイドの位置関係を記録するために、(A)内、(B)中、(C)外の各ヘリコイドを一直線にケガく。



直進キーを固定するネジx3を外す。かなり接着が強かった。筒の内側から覗くと直進キーの裏側のネジ穴が見えるが、そこが接着剤で埋まっていた。溶剤はまったく効かない。

ネジ頭にドライバーを立てて上からハンマーで叩き続け、振動を与えた。1時間程度かかってなんとか外れた。



直進キーを外すと(A)が自由に回るようになるため、(B)も制限を超えて回るようになる。

次に(B)と(C)の終端位置を記録する。(B)を(C)に対して無限遠以上に左回りに締め込む。この場合はすぐに止まった。止まったところで(B)の無限ケガきに合わせて、(C)に終端位置を表す二本線でケガく。組立時は一旦(B)を最後まで締め込んで、このケガキが合うことを確認する。

記録したら(B)を右に回して慎重に抜いていく。



1周と30°くらいで抜けた。抜けた位置で(C)の無限ケガきに合わせて(B)に外れ位置を表すV字のケガキをする。



外した。



外ヘリコイドの中にある、矢印の絞り伝達部品を外したい。

一旦右に回して締め込み、止まるまでの回転数を記録する。1回転くらいで止まった。絞りが伝達できればいいので、ここは厳密でなくてもいいかもしれない。

記録したら左に回して外す。



外した。



無限状態から(A)を(B)に対して左に回して慎重に抜いていく。



抜けたところで(B)の無限ケガきに合わせ、(A)に外れ位置を示すV字のケガキをする。1回転半直前で抜けた。

組立時は制限金具が無限側の制限に当たったときに、(A)と(B)の無限ケガキが合っていることを確認する。



ベンジンとブラシでネジ山の古いグリスを除去する。新しいグリスを塗って組み立てれば完了。今回はジャパンホビーツールの#10を使用した。



レンズ清掃

レンズを清掃する。

社名環をゴムアダプタで回して外す。固かったので矢印の隙間にエタノールを入れ、プラハンマーで1分ほどコンコン叩いて浸透させると回った。




カニ目リングを回して外す。これも固いので矢印の隙間にエタノールを入れて同様にやる。



外れた。絞りユニットが露出した。



後群は掴んで捻じれば外れる。



外した。後群の内部は汚れていないので外さなかったが、2点のカニ目があるので、ここを回せばレンズ単体で取り出せるだろう。



前群と中群は、中群を掴んで回すと外れる。



外した。後は清掃して組み立てれば完了。


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