minolta AL-Eの修理 - その他

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ヘリコイドグリスの塗り替え

念のため、ヘリコイドグリスを塗り替えておく。

ヘリコイドの上に乗っているフィルムを外す。おそらくヘリコイドからの油漏れ軽減用だろう。



(1)内ヘリコイド、(2a)中ヘリコイドA、(2b)中ヘリコイドB、(3)外ヘリコイド(レンズボードと一体)、(4)距離リング。

(1)(2)(3)の位置関係は既にケガいている。(2a)と(2b)の位置関係をケガく。

準備ができたらネジx6を外して(2a)と(2b)を分離する。外してからわかったが、このネジx6の型が(2b)にくっきり残っていたため、ケガキは不要だった。



左から外ヘリコイド、中ヘリコイドBと距離リング、中ヘリコイドAと内ヘリコイド。

外ヘリコイドと中ヘリコイドAはネジではなく、単に筒同士が滑るだけの滑空仕様。

距離リングのノブが外れているが、これは後で無限遠調整するためについでに外したもので、実際はここで外さなくてもよい。

レンズボードついていたビニル線は、邪魔なので接点ごと外している。接点下の絶縁スペーサーに注意。



(1)内ヘリコイドを右回りで(2a)中ヘリコイドAから抜く。ゆっくり回し、抜けた瞬間の位置関係をケガく。組み立てるときはこの位置からヘリコイドをねじ込む。



スポンジや歯ブラシを使い、古いグリスをベンジンで落とす。新しいグリスを塗って組み立てる。ジャパンホビーツールのヘリコイドグリス#30を使った。



無限遠の調整

このカメラはTimeもBlubもないため、無限遠の調整には工夫が必要。

シャッターを開けておく方法は2つある。一つはシャッターユニット内を改変する方法。もう一つはボトムカバー内を改変する方法。

まずはシャッターユニットの方から。通常はボトムカバーでやる方がいいが、シャッターユニットまで分解したならこちらでもいいだろう。

調整は写真のようにシャッターユニットが露出した状態で行う(前群レンズは後で付ける)。

シャッター羽根を開けておけるよう、シャッター羽根を閉じるバネを外す。矢印の辺りにある。



バネの拡大。実線矢印のバネを外す。

レリーズ状態だとシャッター羽根が開かないので、チャージする。その後、(4b)を右に動かすとシャッター羽根が開く。微妙に開ききらないが、許容範囲だろう。気になるなら詰め物をすれば完全に開いた状態になる。

この後、前群レンズを取り付ける。

これでシャッター羽根は開いたが、絞り羽根は閉じたままだ。このカメラは、レリーズボタンを押さないと絞り羽根が開かない仕様になっているため。絞り羽根を開くにはレリーズボタンを押す必要があるが、押し込むとシャッターが切れ、シャッター羽根が閉じてしまう。

シャッターが切れないギリギリの状態を保ってもいいが、それでは調整がしにくい。そこで、オートモードで電池が入っていないとレリーズロックが掛かるのを利用する。この状態では、レリーズボタンは押せるが、シャッターが切れる直前でロックが掛かる。「絞り羽根は開くがシャッターは切れない」という都合の良い状態になる。

後はオートモードにして電池を抜き、レリーズボタンを押し込めばBulbと同じ状態で無限遠の調整ができる。レリーズボタンは外付けセルフタイマーに押させると簡単。



ボトムカバーの方を説明する。通常はこちらの方が良いだろう。

写真はチャージ状態。丸印で示したのは、レンズユニット側から出ているチャージレバー。

レリーズするとこのレバーが右に戻ろうとするが、これを左に引っ張った位置で固定できればシャッターが開いた状態を作れる。それにはチャージレバーに紐を掛け、ボディの適当な位置に結びつけて固定してしまえばよい。

紐をかけるのに左側の部品が邪魔になる。矢印のバネを外せば移動させることが出来る。



紐を掛け、ボディに結びつけた状態。レリーズボタンを押すとチャージレバーは右方向に戻ろうとするが、紐で写真の位置に固定しておけば、レリーズボタンを押し込んでいる間はシャッターも絞りも開きっぱなしのBulb状態が作り出せる。

このレバーの位置はシビアで、これより少し左だとシャッターが開ききらないし、少し右だとシャッターが閉じてしまう。紐で細かい位置を調整するのは難しいので、固定できるのなら粘着テープの方が簡単かもしれない。



分解手順の都合上、写真ではヘリコイドが単体になっている。ボディに付いているものとして見てほしい。

距離リングのノブをねじx2で外す。



矢印の距離値板も一緒に外れる。

丸印で示した(4)距離リングのサイドのイモネジx4を緩めると、(4)距離リングと(2b)中ヘリコイドBの固定が外れる。後は通常通り無限遠を調整する。

無限遠の調整は『共通の修理方法 - レンズの無限遠調整』を参照。

今回は組み立て後に無限遠がずれていなかったため、調整は行わなかった。



最短撮影距離の短縮化改造


このカメラは最短撮影距離が80cmとレンジファインダーとしては遠い方ではない。しかし短いに越したことはないので、できる限り短縮する。

無限・最短制限は、写真右の中ヘリコイドの丸印の突起が、写真左の外ヘリコイドの溝の端にぶつかるようになっている。Aが最短側で、Bが無限側。

つまりA側を削れば最短距離が短縮できる。



ミニルーターのハイスビットで最短側の制限を削った。すぐ近くにネジ穴があるため、深追いは危険と判断した。

また、最短側にレンズを繰り出すと、レンズのチャージレバーとボディ側とのリンクが噛み合わなくなる恐れがある。写真くらいが限界だろう。



そのままでは中ヘリコイドのU字型の穴の端がチャージレバーに干渉するので、丸印のネジを緩めてヘリコイドの位置関係を調整する。写真は無限位置。矢印のところでU字型の穴がチャージレバーの可動領域に干渉しないようにした。



最短側はU字型の穴から直進キーが通る穴が完全に見える。

組み立てて無限遠を調整すると、最短撮影距離は67cmと、13cmの短縮となった。距離計は正確に合わせられるようだ。ブライトフレームにも大きなズレは見られない。


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