Rolleiflex SL26の修理 - 交換レンズの修理

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Tessar 2,8/40

標準レンズTessar 2,8/40のヘリコイドがスカスカなので分解する。

セオリー通り、距離リングは無限遠にしておく。



とりあえずマウント側のネジを外してみる。



分解するものはこれ以上見当たらない。丸印の奥に銀色のピンの先端のようなものが見えるのみ。

一応、矢印のマウントの爪を外してみる。バネを外せば外れる。



特に何もなかった。爪の下側に滑り用の透明シートがある程度。とりあえず外して保管しておく。



後から調整するが、一応無限遠でマーキングしておく。外ヘリコイドはケガキでいいが、内ヘリコイドは外から見える部分なので、白マーカーにしておいた。消してしまわないよう注意。

ケガキの位置は適当に決めたが、本来は距離リングや被写界深度リングの指標の位置に合わせるのが良いらしい。



次に側面のイモネジx3を緩める。前側を下、後ろ側(マウント側)を上にしてネジを緩め、後ろ側(マウント側)をそっと持ち上げる。内部に極小のバネがあるので要注意。



距離リングとヘリコイド部が分離した。

気を付けて外したつもりだが、距離リング側(左)のバヨネット部品の(2)極小バネが2つ脱落した。バネは(1)に入っていたもので、バヨネットのクリック感のための部品。

被写界深度リング側(右)の(3)は無限最短制限ピン。距離リング側の(4)無限最短制限に当たってヘリコイドの動きを制限する。



極小バネと、それが入るバヨネットクリック感部品を取り出し、保管しておく。

このような極小部品はピンセットで掴むと弾いて飛ばしてしまう恐れがあるので、ピンセットの先で引っ掛けて移動するとよい。



距離リングが外れると、無限遠を超えてヘリコイドを回すことができる。

ヘリコイドを前側から右回りで締め込んでいき、最後まで行って止まったところで後ろ側に終端位置のマーキング(丸印)。無限位置のケガキに合わせ、内ヘリコイドに「ト」の印を書いた。



終端位置は重要なので、念のため前側の内ヘリコイドをケガいておいた(マーカーはヘリコイド清掃時のベンジンで消えてしまうため)。後ろ側の外ヘリコイドのケガキにおおよそで合わせている。

組立時にこの終端位置が合っていなければヘリコイドの組み間違い。



前側から内ヘリコイドを左回りにゆっくり回して外していく。

外れた瞬間を後ろ側の外ヘリコイドに合わせて「V」字でケガく。組立時はこのケガキを元にヘリコイドを組み立てる。

準備ができたら内ヘリコイドを外す。



(1)外ヘリコイド、(2)被写界深度リング、(3)内ヘリコイドに分離した。



線状はかなり細かい。何条ネジかは分からなかった。

ベンジンで清掃した後、新しいグリスを塗布した。グリスはジャパンホビーツールの「ヘリコイドグリス#30」を使用した。組み立てるとヘリコイドに丁度よい抵抗が戻った。

最後に本体に取り付け、ファインダーを覗きながら無限遠を調整した。

調整は、ファインダーを覗きながら無限遠に相当する十分遠い場所にフォーカスを合わせる。フォーカスが合わずに無限側制限に当たる場合は、一旦イモネジを緩めてヘリコイドが動かないように距離リングだけ近距離側に少し回し、イモネジを締めて再度距離リングを無限遠方向に回していく。フォーカスが合うまでこれを繰り返す。

なお、ヘリコイドを動かさず、距離リングだけを回す際は、リングを本体側に軽く押しながら回すこと。これはバヨネット部分のバネでリングが押されているため、イモネジが内ヘリコイドに当っており、そのまま回すと内ヘリコイドも一緒に回ってしまうため。

フォーカスが合ったら距離リングの指標を確認。通常は無限指標より近距離になっているだろう。

次に距離リングのイモネジを緩め、ヘリコイドが動かないように距離リングだけ回して無限遠の指標に合わせ、イモネジを締めれば完了。

無限遠の調整は『共通の修理方法 - レンズの無限遠調整』を参照。



Pro-Tessar 3,2/28

Rolleiflex SL26専用交換レンズ。ヘリコイドが重いため分解する。事前に距離リングを回して無限位置にしておく。



ケガキの都合上、マウントリングを外す。



一応、マウント爪も外しておく。滑り用の透明プラスチックシートも忘れずに。

見えている丸印のネジx2も外しておく。これはヘリコイドと被写界深度リングを分離するためのもの。点線丸印の位置に前側からのネジが1つあるため、この時点では分離できない。



無限位置でマーキング。外ヘリコイドはケガキ。内側は外から見える部分なので白マーカー。



次に距離リング側面のイモネジx3を緩める。



するとレンズ前側が無限位置を超えて回せるようになる。

前から見て右回りに締め込んでいき、止まったところで外ヘリコイドのケガキに合わせ、内ヘリコイドに終端位置のマーキング。

狭くて「ト」は書きにくいので、二本線にしておいた。組立時にここが合っていなければ組み間違い。



次にレンズ前側を前から見て左回りにゆっくり回して外していく。

外れた瞬間の位置をマウント側の外ヘリコイドのケガキに合わせて「V」字でケガく(ちょっと失敗した)。

組立時はこの位置を元に外・内ヘリコイドを組み立てる。



念のため、ヘリコイドを外したらグリスを洗浄する前に外から見えない場所に終端位置をケガいておく。



(1)距離リング、(2)外ヘリコイド, (3)内ヘリコイドとレンズ、に分離した。

ヘリコイドをベンジン洗浄し、新しいグリスを塗る。グリスは自家調合のシリコングリス+シリコンオイルを使用した。

レンズは外す部分が見当たらなかった。前側から銘板をゴムアダプタで回そうとしたが動かない。接着だろうか。汚れはないのでそのままにしておいた。



外ヘリコイドの丸印のネジを外すと、ヘリコイドと被写界深度リングに分離する。マウント側からネジを2つ外しており、ここが残りの1つ。このネジは無限最短制限ピンを兼ねている。

この分離は必要ないが、分離したほうがベンジン洗浄がやりやすい。



距離リングは切り欠きがピンにあたって無限最短を制限している。



Pro-Tessar 4/80も分解しようとしたが、こちらはイモネジが固く、ドライバーが折れてしまったので諦めた。

構造はPro-Tessar 3,2/28と同じと思われる。