minolta HI-MATIC 7の修理
- 電池室の修理とメーター調整

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電池室は青丸のネジを外せば電池室ごと外れる。黒いビニールの目隠しも外せる。



外した電池室。液漏れしている。プライヤーで電池室本体を掴み、ペンチで500円玉を挟んで蓋にあてがい、力を入れたが回らなかった。ハンマーで叩いてはCRCに漬け込む、を繰り返したが効果なし。他の溶剤も効果がなかった。

ドリルでネジ山部分に穴を開けてCRCを流し込む隙間を作ろうとしたが、どこが蓋と本体の境界か分からないくらい一体化しており、CRCは浸透しなかった。穴を広げても同じ状況でびくともしない。

更に穴を広げていき、中に電池が入ったままなのは見えたが、利用不可能な状態になるまで破壊してしまった。これ以上は無意味なので、修理はあきらめ、鉄屑と化した電池室を廃棄した。



電池室を外した本体底部。赤丸で示した場所に内部から青いビニル線が出ている。これはマイナスで、電池室の横から出ている端子に繋がる。1極しかないので不思議に思ったが、どうもプラスは電子室そのものから、カメラ本体シャーシの金属を通して通電しているらしい。

まさかと思ったが、適当な電池でビニル線と本体金属に電圧をかけると、メーターの針が触れた。



メーターは生きているので、電子パーツ屋でボタン電池ホルダー(LR44用)を購入し、ビニル線を繋いだ。プラスは電池室を固定していたネジに圧着端子で接続した。

電池ホルダーは薄く、そのままでは底蓋を嵌めたときに電池交換がやりにくいので、ホルダーに2mm厚のプラバンを貼り付けて底上げした。それを両面テープで電池室があった場所に貼り付けた。

蓋はどうしようか悩んだが、いい方法が思いつかなかったのでパーマセルテープでごまかした。一応、破ってしまわないように丸く切ったプラバンを貼り付けておいた。かなり不格好になってしまった。

LR44を入れるとメーターの針が明るさに応じて振れた。



トップカバー内の可変抵抗2つでメーターの振れ方を調整できる。トップカバーの開け方は別項参照。

可変抵抗の働きは左右で逆になる。どちらも右側にすると抵抗値が大きくなる。左側はメーターと直列で、抵抗値が大きくなるとメーターがより低いEVを示す。右側は並列接続で、抵抗値が大きくなるとメーターがより高いEVを示す。知識がないのでハッキリとはわからないが、左側はメーターの大まかな調整。右側は微調整と傾きの調整だと思われる(抵抗値が大きいと傾きが大きくなる)。抵抗値は左側は最大10kΩ、右側は最大2.8kΩ。メーターは2.8kΩを示した。

見えているビニル線は橙矢印の赤線二本がCdSから、青矢印の青線が電池室のマイナスから繋がっている。

メーターユニットは分解していないので分からないが、右の2本はメーター、右端の赤線は本体シャーシのプラスとも繋がっているのだろう。メーターが生きているか試したい場合は、電池室マイナスが繋がっている接点にマイナス、右端の赤線が繋がっている接点にプラスを繋げればよい。

今思えば、電池室は破壊するべきではなかった。単に外して保管しておけば、LR44の電池ホルダーを使うことができる。そうすれば将来的に電池蓋を開けられる可能性は残される。オリジナルの部品を改変するのは最終手段とすべき。

メーターは最初、問題なく動いていたが、2年ぶりにカメラを取り出すと低い値しか示さなくなっていた。ISOを2倍値に設定すればギリギリなんとかなる程度。導線を交換したり、メーター軸にベンジンを注したりしたが、効果はない。

ネットで検索すると、CdSはしばらく光を当てると回復するという情報があった。電池を入れてISOを最大の800に設定し、LEDライトの強い光を当て続けると、少しずつメーター値が上がっていくのが確認できた。10分ほどすると、まだ以前よりは抵抗値が大きいものの、1.5V電池なら可変抵抗の調整幅の中でギリギリ収まるところまで回復した。

レンズキャップをつけてしばらくするとまた反応が悪くなるが、明るめの光を一瞬当てれば回復するようだ。とりあえずこれで使っていくが、いずれはCdSを交換したい。

将来の交換に備え、現在の不調のCdSの抵抗値を何点かで測っておいた。メーターがEV10で53KΩ。EV11で37kΩ、EV12で22kΩ、EV13で16kΩ。可変抵抗は、左900Ω、右2.4kΩに設定している。

電子パーツ屋の通販サイトを見ると、CdSのスペックには明抵抗、暗抵抗がある。明抵抗は400~600Luxを2時間照射後に10Lux(2EV)で計測、暗抵抗は10Luxの光を消してから10秒後に計測した値とのこと。このスペックからはカメラに適したものかどうかは分からない。交換時は何種類か買ってきて合うものを選ぶ必要があるだろう。



結局の所、しばらくするとCdSの反応が更に悪くなったため、交換することになった。

分解方法は『その他 - CdS周りの清掃』を参照。

電子パーツ屋でCdSを数種類購入して試してみたところ、「DIGI-KEY NSL-5150」が適当だった(電池はLR44を使用)。他の物は照度によって抵抗値が大きすぎたり小さすぎたり、光量と抵抗値のカーブが合わなかったりして、まったく使えなかった。今回はたまたま適合したが、カメラにちょうど合うCdSを探すのは簡単ではないようだ。

元のCdSとサイズが違うので、黒く塗ったプラバンを接着して間に合わせた。


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