分解 - Hasselblad 500Cの修理

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目次

外カバー分離

分解していく。

記事の写真は後で撮り直したものが含まれているため、汚れやネジの塗装ドメなど、最初の分解時の状況と合わないものがある。実際には、ほとんど全てのネジに黒い緩みどめが塗られている。

スライドスイッチを操作してノブを外す。



カニ目ネジを外す。



ネジの裏側にギアの形をしたワッシャーがあった。

次に矢印の銀色の円盤がそのまま外れる。油で張り付いていて外れにくかったので、マイナスドライバーを使ってテコの原理で外した。



更に銀色の円盤が出てくる。これもそのまま外れる。



内部のギアが見えた。



次に底側のプレートを外す。ネジ×4。ものすごく固く、かなり舐めてしまった。ネジにCRCを塗り、更にネジにドライバーを当てて金槌で何度も衝撃を与えた。それでも固くて回らなかったが、1日経つとなんとか外れた。



更に黒いプレートを外す。ネジ×2。やはり固かったので、同じ方法で1日かけて外した。





この状態で外カバーを持ち、レンズマウント側から内側を押すと分離する。



分離した。ビニル線が邪魔なので、外カバーは前後逆にして置いている。



本体側に残っているレンズ取り外しボタンと、その下の白いプラスチックスペーサーを外して保管しておく。



本体側面のビニル線を外す。ナットを外すと外れる。



線押さえを外す。これでビニル線が本体から外れる。



本体を眺めておく。底側からはレンズへのチャージ関係ギアが見える。



上・左・後板の分離

側面は、後ろ側から見て右側にギア群があり、機能が集約されている。左側はほぼ機能がない。

全体に古いグリスが粘っており、動きが悪い。特にAは茶色い古いグリスで粘っており、Bからは黒い粉が出てくる。

この状態で右上の黒いギアを右に回すとチャージできる。右下の矢印で示したレリーズプレートとピンを同時に押すとレリーズできる。

とりあえずBから見ていく。かぶさっている黒いカバーCを外してみる。ネジ×1。



銀色のドーナツ状の部品が見えた。固定されておらず、そのまま外れる。



厚手の円盤が出てきた。この円盤と先ほど外したドーナツ状部品の間に大量の黒い粉が詰まっていた。古いグリスだろうか。この円盤は遮光板の開閉とともに高速回転するので、ドーナツ状部品は遮光板のブレーキの役割かもしれない。かなり動きが悪い。



ここから分解方法が分からず時間がかかった。どうも側面のギアユニットは後回しにして、ファインダーベースを先に外すのが正しいようだ。

まずはマガジン爪を外す。ネジ×2。

写真ではミラーを傷つけないよう、紙で保護している。



ネジ×4を外す。



後ろから見て右側面のネジ×2、左側面のネジ×2を外す。左側面のネジの1つはビニル線押さえを兼ねている。



ファインダーベースを上に引き抜くと外れる。



ファインダーベースの裏側。4辺に劣化して粉状になったモルトプレーンが見える。



モルトプレーンは後ろ側の溝に収まる高さ。高さ1.5mmくらいか。劣化しすぎて元の高さはわからないので、試行錯誤してちょうどいい高さを割り出すしか無いだろう。左右は巾1mm。後ろ側は巾1.5mm。



前側。ここは溝になっていない。巾1.5mm。他の辺より少し高さがあるように見える。2.5mmくらいか。



ミラーアップ時、モルトプレーンがある溝にミラーの端の立ち上がり部分が入りこみ、光漏れを防ぐ構造のようだ。劣化したモルトプレーンを除去し、新しいものに張り替える。



遮光板ユニットとの接合部にはモルトプレーンはなかったが、黒い塗料の跡があった。同じ塗料が遮光板ユニット側にもあったので、組立時に塗料を塗って取り付け、光漏れを防いでいたようだ。



ボディの内部、マウント側にもモルトプレーンがある。高さ2mm。厚さは1mmくらいか。遮光はモルトプレーンに頼った構造のようだ。



次に後板(遮光板ユニット)を外していく。

まず、少しチャージしてマガジンギアを写真の角度で止める。するとネジが見えるのでこれを外す。

外したら完全にチャージしてレリーズしておく。



チャージマークの裏側にあるネジを外す。ネジにアクセスしやすい状態が見つからなかったので、斜めから細いドライバーを入れて外した。



底側のネジ×2。



後ろから見て左側面のネジ×2を外す。



後板は後方に外れるが、遮光板が閉じた状態では、B:上下のアームが縮んでいて外れない。

チャージマークを下に押し下げると遮光板が開くので、それでアームを伸ばす。遮光板が開かない場合はチャージマークを下に下げながら、ピンAを上に押すと開くはずだ。



遮光板が開いたら、後板を後ろに引っ張ると外れる。



アームを抜く。突起がはまっているだけ。



外した。ミラーも付いてくる。



レリーズプレートが宙ぶらりんになっているので外しておく。丸印で鋼線とバネで接続されているので、先にバネを抜きながら外す。



内部。丸印のフォークはミラーと接続する部分。



フォークはミラー側の突起とリンクする。



左板を外したい。しかし矢印のネジにアクセスするには黒いカバーが邪魔になる。

このカバーを外す。ネジ×1。

なお、左側の銀色のネジは緊急時にレンズをチャージするためのもの。遮光板を空けてドライバーを突っ込み、このネジを回すとレンズをチャージできる。



外した。レンズ側ギアのチャージユニットや傘歯車が現れる。左カバーを外すため、ネジ×3を外す。



側面のネジ×2を外す。先程より長いネジ。



左板が外れる。丸で囲った部分に劣化したモルトプレーンがある。H32, W4mmくらい。厚みは0.6~0.7mmくらいに押しつぶされている。ここは何度の伸縮する場所ではないので、1mm厚のフェルトで代用する。



ギアユニットの分離

ミラーレバーのカバーを外す。ネジ×1。



ミラーレバーが露出した。

矢印はレンズロックピン。ミラーアップするとマウント側からピンが出て、レンズの着脱を妨害するようになっている。



ようやくギアユニットを外していく。

Aで示したネジはギアユニットを固定するものの一つ。これを外すのにBミラーアップレバーが邪魔になる。しかしBを外すにはバネCが邪魔になる。

まずはCのバネのかかりを外し、その後、丸印のネジ×1を外してBを外す。



バネを外す。



スペーサーを外す。



ミラーアップレバーを外す。



ネジを外す。黒いL字型金具も外す。これはミラーアップレバーの制限用。



次に矢印で示した、マガジンギアとチャージギアの中間ギアを外す。ネジ×1。ネジ直下とギア直下の2箇所にワッシャーあり。

ネジを外すと裏側のミラーレバー一式が外れる。このネジは裏側から貫通していたミラーレバーの軸を固定している。



外れたミラーレバー一式。



残りのネジを外す。Aはマガジンギアを回して写真の角度にすると現れる。

B2はラチェット爪を右に避けながら外す。

ネジの種類や長さに注意。Aは皿ネジ。B1,B2は長いネジ。CはB1,B2より短いネジ。



ギアユニットを外した。その際、レンズ側ギア9とのリンクが外れ、一気に左に回転するので注意。

矢印の遮光板のアーム2本も外れる。上側が短く、下側が長い。


ギアユニット


ミラーキャッチ爪のカバーを外す。eリング×1。



外した。単純な構造。この爪はバネを外せばそのまま外れる。

写真では左側のバネの端が外れている。誤って黒いギアを写真右方向に回したため、外れてしまったもの。本来は写真左に回してチャージする。外れたバネの端は、ギアの根本に見えている小さな穴に入っていた。



前板も外す。ネジ×2。



底側のネジ×1。



こちらにも左側と同じようなモルトプレーンがある。H47, W4。同じく1mm厚のフェルトで代用する。



矢印はレンズロックピンが入る穴。

レンズチャージユニットを外す。ネジ×1。本来はこのネジのすぐ右下に役割不明のネジがあるが、写真では外れている。



前側から皿ネジ×1。



2本のピンが抜けにくいが、ドライバーをコジ入れてテコの原理で少しずつ外した。



レンズチャージユニットを上から見たところ。

全体の動きがかなり悪い。古いグリスをベンジンとブラシで洗浄する。

新しいグリスを塗り、軸には軽くオイルを差しておく。このカメラでは、基本的にギア同士の歯の噛み合わせにはグリスが塗られているようだ。機械類では一般的なことらしいが、今までのカメラ修理では見た記憶がない。それだけギアの負荷が大きいのだろうか。




厚手の円盤を外して洗浄する。ネジ×1。

写真が状況と一致しないが、ギアユニットは右板から取り外しているものと思ってほしい。



円盤の下からゼンマイバネが出てきた。ギアごと外せる。これも古いグリスで動きが悪いので取り外して洗浄する。

その他、表側の部品を適宜外しておく。10はeリング×1。11は写真がおかしいが、手順通りならそのまま外れる。



円盤とゼンマイバネはベンジンに漬け込んで洗浄した。円盤は表面にグリスが固着していたので、砂消しゴムで削り落とした。

ゼンマイバネを取り付ける際は、まず外側の端を引っ掛け、指で押さえなが少しずつ内側に向かってはめ込んでいくと良い。



ギアユニットを裏返した。7aと32aに遮光板アームが取り付けられていた。

7と23はそのまま外れる。

7はその下のギアとの噛み合わせ位置が決まっているので、外す前に記録しておく(突起同士が同じ位置関係になる)。

表側で分厚い円盤を外した際、ネジが固定されていたのは7の軸だった。ゼンマイバネの内側の端が引っ掛けられていたのも7の軸。

23は2つの突起がミラーレバーの中心にはまり、ミラーレバーと連動して動く。



表側の黒いチャージギアを外したい。裏側の丸印のネジを外す。念のため、20:ミラーカムの位置をマーカーで記録しておいた。



ミラーカムは少し硬いが、周りから少しずつ持ち上げれば引き抜ける。

外してみると、ミラーカムが取り付けられていた軸は円ではなく、長四角のような形。そのため、取り付け角度は2パターンしかなく、ミラーカム位置の記録は不要だった。



ミラーカムを外すと表側のチャージギアが外れる。チャージギアは裏返している。

17の爪とバネのかかりを外す。




ギア16を外したいが、裏側から出ている矢印のレバーが邪魔で外れない。



そのレバーは裏側の18。バネのかかりを外して押し下げると移動する。



するとギアが外れる。



レバーも外して清掃する。



金色のギア8はネジ×2で外れる。このネジは裏側の固定金具にネジ止めされている。



外した所。



金色のギアと、ネジの固定金具が外れる。



必要ならギアのカバーも引き抜いて外せる。

ここでは外したが、かなり固かった。外さない方が良さそうだ。



黒いチャージギアは、カバーを挟んで2つある。これを分解する。

リングを引き抜く。



軸を貫通している棒を引き抜く。




これで2つのギアが分離する。



これで分解できることろは粗方分解した。

すべての部品を洗浄する。


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