組み立て - Hasselblad 500Cの修理

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組み立て

組み立ては基本的には分解と逆順にすればよいが、コツが必要なところが多々ある。全体の動作メカニズムを理解しておくとスームズに作業できるだろう。

必要な箇所に注油しながら組み立てていく。

まずは前板にレンズチャージユニットを取り付ける。写真のマスキングテープに意味はない。



前板と右板を組み立てる。



ここから右板にギアユニットを組み込みこんでいく。

右板側の準備をする。9を右に回してチャージし、写真の係止状態にしておく。最適な回転数は試行錯誤でトライアルアンドエラーで探る。今回は3回転させた。



このチャージはAのレンズチャージシャフトをドライバーで回すとよい。チャージの際はそのままだとミラー係止爪を途中で引っかかるので、爪を押し下げながら行う。



ギアユニット側を準備する。写真のように遮光板ギアを遮光板が開いた係止状態にする。



チャージギア群を初期位置にする。1を左に回し、16bを制限に当てる。



11:レリーズレバーと鋼線を組み込む。抜け落ちやすいので、粘着テープで仮固定しておくとよい。



裏返して遮光板アームを取り付ける。だいたい写真のような角度にしておく。



その上から右板を乗せてはめ込む。



大体はまったらひっくり返す。

10が干渉しやすいので、位置を修正する。

Bのアームの位置を確認する。BはAより下になる。

丸印でギアをかみ合わせる。9のギアを少し右に送る。9とリンクしているマウント側のレンズチャージバーを掴んで左に回すとやりやすい。



ネジ×5を取り付け、ギアユニットを固定する。チャージギアは少し左に戻し、写真の位置にラチェット爪がかかるようにする。



ここで動作テストを行う。チャージギアを右に回し、正常にチャージできるかチェックする。



正常なら、チャージ完了でレンズチャージバーが赤点の方を向くはずである。

ただしこの個体は、分解前は赤点をわずかにオーバーしていたので、分解前と同じ位置になるよう調整した。



赤点の方を向いていないなら、ギアのかみ合わせを1歯ずつずらして調整する。

チャージしたあとは、11を左に押してレリーズしておく。その際、チャージマークの右端13cが引っかかるので、チャージマーク13bを軽く押し下げておく。

レンズチャージバーが赤点に足りない場合は、組み立て後、ミラーが係止できない、レリーズが正常に終わらない、などの不具合が発生することがある。



ミラーアップレバーを取り付ける。



次にチャージギアとマガジン側ギアの中間ギアを取り付けるが、その前にマガジン側ギアを右に回してチャージしておく。後の工程で半周分緩むので、その分を考慮しておく必要がある。

回転数はトライアルアンドエラーで探る。今回は2回転にした。



マガジン側ギアを指で抑えながら、歯のないギアの切り欠いた部分が左側の縦真っ直ぐになるように角度調整し、3:中間ギアを取り付ける。ギアの下のワッシャーを忘れずに。ネジはまだ取り付けない。



次にミラーレバーを取り付けていく。裏返すので、念の為、中間ギアをテープで固定しておく。ネジ穴は見えるようにしておく。



ミラーレバーを取り付ける。バネの位置に注意。



ミラーレバーを少し浮かしてレンズロックピンを取り付ける。丸印の裏にあるミラーレバーの突起に引っ掛ける。

先にマウント側の穴にピンを刺したほうが取り付けやすい。



ミラーレバーを指で押さえながら裏返し、ネジとワッシャーで固定する。

念のため、裏返してミラーレバーがちゃんとはまっているか、バネを踏んでいないかなどをチェックする。



ミラーレバーのカバーを取り付ける。



レンズチャージユニットのカバー、左板を取り付ける。



レリーズプレートを取り付ける。ただしこのままでは正常に取り付けられないので、仮に写真のように取り付ける。丸印の位置関係に注意。外れやすいので、テープで仮固定してもいいだろう。

このとき、レリーズプレートで11を右に押してしまわないように注意。押すと遮光板の係止が外れて閉じてしまう。

14cは上に上がっていて、このままでは後板が取り付けられないが、これは後ほど調整する。




後板を取り付けていく。上下のアームと後板の突起をはめ、後板を右に押してはめ込んでいく。



このとき、マウント側から指を入れてミラーを上げ、ミラーの突起とミラーレバーのフォークをリンクさせる。



このままでは14cと丸印の後板の穴の位置が合わない。

14cを下に押し、穴の位置を合わせてはめ込む。

このとき、14bが11を右に押すため、遮光板の係止が外れ、遮光板が閉じる。これにより遮光板のゼンマイバネが半周分緩む。




そのまま後板を完全にはめ込む。ミラーが引っかかる場合は少し押し下げるとよい。

後板をネジで固定し、矢印のバネをかければ完了。



チャージとレリーズをテストしておく。

ギア9の回転が引っかかるような動作をしたり、途中で止まってしまう場合は、丸印のネジを緩めて8の位置を調整する。ここを調整するとレンズチャージバーの角度が若干変わるので、チャージ完了で赤点の方を向くか再度チェックする。

チャージ後、ミラーアップレバーを押し上げるとミラーアップ動作になる(遮光板も開く)。ミラーアップしない場合は、Aの黒いL字型部品の位置を調整する。



組み立てていき、ボディを外カバーに入れるが、その際、そのままだとミラーアップボタンとミラーアップレバーがうまく噛み合わない。

組み込みながらミラーアップレバーを右に押すとリンクしやすいようだ。



正常動作させるにはいくつもの調整が必要なカメラなので、正常動作するまではカバーを取り付けず、写真のように前板、右板、後板だけで組み立てて動作試験をするとよいだろう。


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