minolta AL-Eの修理 - 分解2(レンズユニットまで)

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レンズボードの分離

レンズボードの分離を始める。エタノールなどを使い、左右の革の接着を剥がす。だいたい赤で囲まれた部分だけでよい。



革は両面テープ貼りに変更するため、ここでは全て剥がした。革に残った接着剤は強固で溶剤に強いらしく、エタノール、ベンジン、アセトンを試したが綺麗には剥がれなかった。

次に矢印の銀色のカバーを外す。ネジx2。




カバーを外すとボディとレンズユニットの連絡機構が見える。動きを確認しておく。

(1)オート絞り値伝達プレートはバネで常に上への力がかかっている。(1)は(10)とつながっており、(10)には左回転の力がかかる。しかし(11)の一部(11b)に係止されて(10)も(1)も動けない。

(11)は(11a)が(9a)に係止されて動かない。

(9)レリーズシャフトが押下されると(9a)も下に動き、係止の解除が(11a)→(11b)→(10)と伝達し、(1)が上に上がる。



レンズボードを外す前に、ボディ前から見て右側にある基板のビニル線のハンダを外しておく。赤2本のみ外す。この赤2本と、トップカバーに付いてい た黒1本が、ファインダーユニットの下を通ってレンズユニットに繋がっている。これらビニル線は、先にレンズ側に引き出しておくとよい。

基板自体は丸印のネジ1で固定されているので、必要なら外せばよい。

(A)の「ミノルタ」と書かれたプラスチックのものは、メーター調整用の半固定抵抗のカバー。赤で囲った部分で軽く接着されている。調整が必要ならエタノールで剥がせる。回路に接続したままでの最大値の実測は31.36kΩ。

その左側の抵抗はメーターの傾きを調整するためのもの。調整する場合はこの抵抗を外して交換する必要がある。上から「茶・緑・黄」が塗られているので150kΩ。回路に接続したままでの実測値は19.52kΩ。



底蓋内のバネのかかりを外しておく。



準備ができたらネジx4を外してレンズボードをボディから分離する。

いくつか干渉する場所がある。これは(9)レリーズシャフトを押し込みながらだと外れやすい。



具体的な干渉箇所は(A)の奥と(B)。

(A)はボディ側のフォーク状部品とレンズ側のピンがリンクしている。

(B)はボディ側のピンとレンズ側のフォーク状部品がリンクしている。

写真は(9)レリーズシャフトを押し込んでいる状態。この状態だと外しやすい。



レンズボードを分離した。



ボディ側に劣化したモルトプレーン。四角い筒状に立っている。レンズ側にある遮光筒が、ボディ側の遮光筒とモルトプレーンの間に入るようだ。おそらくボディの隙間からの光漏れ防止と思われる。

モルトプレーンは接着が完全に劣化しており、どこに接着されていたのか分からない。おそらく、よほど強い光でない限り光漏れはないと思われるので、とりあえずモルトプレーンは無しとする。

ボディのモルトプレーンが触れていた部分は塗装が剥がれたので艶消し黒で塗装。



ボディとレンズボードのリンクを確認しておく。リンクしている箇所は同じ記号で示している。

(A)レリーズ。(B)自動絞り伝達。(C)チャージ。(D)オート/マニュアル切り替え。

レンズ側単体でシャッターを切れる。(C)を右に動かしてチャージ。(A)を下に動かしてレリーズ。レリーズ後、(A)は元の位置に戻すこと。



(E)距離計伝達部品。ヘリコイドの前後の動きをファインダーの距離計に伝える。無限側になるほどレンズ側の金具が距離計側のプレートを押す。



ヘリコイドとレンズユニットの分離

レンズユニットとヘリコイドを分離していく。矢印の距離系伝達金具を外す。ネジx2。緩みドメがあるのでエタノールで溶かす。



遮光筒を外す。レンズ上側のイモネジx1を外す。緩みドメをエタノールで溶かす。

スリ割りが崩壊していたのでアートナイフで掘って深くした。おそらく真鍮で柔らかく、簡単に掘れた。イモネジは実測M1.4。

遮光筒はプラなので、組立時はネジを軽く締め、緩みドメで固定する。遮光筒の下側にはネジがなく、軽く接着されていた。こちらの接着は無しにする。



遮光筒を外した。



後群レンズ外す。一番外側のカニ目を回して外す。



後群レンズはコバが塗られていなかったので、ついでに墨汁でコバを黒く塗った。

ヘリコイドとレンズユニットを分離する前に、緑線のハンダを外し、ビニル線押さえのネジを緩めておく。

レンズユニット側に直進キーがくっついており、直進キーごとヘリコイドから外れるので、無限遠でケガいておく。この個体は無限遠と最短の両方にケガきがあった。最短では後ろ側で、中・内ヘリコイドがほぼツライチになる。組立時はこの最短ツライチ状態でのケガキが合っているか確認する。

準備ができたら中ヘリコイドにレンズユニットを固定するリングのカニ目ネジを外す。しっかり接着されているので、エタノールで緩めること。



分離した。(A)は外した固定リング。接着剤をきれいに落としておく。

(1)(2)(3)はヘリコイドとレンズユニットの間位に重なって入っていたリング。(1)チャージリング、(2)スペーサー、(3)レリーズリング。(3)がレンズ側、(1)がヘリコイド側。(2)は完全な円ではなく、内側に突起があり、ヘリコイドの前側にはまる箇所がある。



ヘリコイド部を前向きにした。組立時はリング(1)(2)(3)をヘリコイド部に(1)(2)(3)の順に置き、その上からレンズユニットを取り付ける。(1)と(3)のレバー部(1a)(3a)は、ヘリコイド部の隙間(I)から後ろ側に出す。(2)の突起(G)は、内ヘリコイドの切欠き(G)にハメる。レンズ側のピン(G)もこの切り欠きにはめる。

ヘリコイドとレンズユニットのリンクを確認する。同じ記号同士がリンクする。

リング(1)の(A)はレンズ側の(A)チャージレバーにリンクする。(1)が回ることでレンズ側(A)を回してチャージする。

リング(3)のBはレンズ側(B)の奥にあるレリーズレバーにリンクする。(3)が回ることでレリーズする。

レンズ側の(C)直進キーとビニル線はヘリコイド側の穴(C)に通す。

レンズ側(D)はオート/マニュアル切り替え。ヘリコイド側(D)にリンクし、右側の丸印の位置に来る。

絞りリングを回すと(E)が回る。絞り込みは右回り、開放は左回り。

(D)はマニュアルでは(E)に妨害されて動かないが、(E)が左に回ってオートになると、(Da)が(Ea)の切り欠きに入って矢印方向に移動できるようになる。

レンズ側(F)は絞り操作ピンでヘリコイド側(F)に入る。(F)は普段はボディ側で下に押されており、絞り込み状態になっている。レリーズシャフトを押下すると上に上がって設定値まで絞りを開く。この設定値は(E)の回転で決められており、(F)が(Eb)に当たるところまで絞りが開くことになる。

(H)は絞りクリック感部品。



(B)レリーズレバーの拡大写真。レンズ側(B)レリーズレバーが矢印方向に動くとレンズシャッターがレリーズする。



組立時は写真のようにヘリコイド側に操作リングを重ねておき、その上からレンズユニットを取り付ける。リンクさせながらの取り付けはコツが必要。


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