minolta HI-MATIC 7の修理
- シャッター羽根・絞り羽根の洗浄

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これから更にネジを外してシャッターと絞り羽根・シャッター羽根を分離するが、その前に、前側に外れやすい部品があるので確認して外しておく。

速度設定ディスクは乗っているだけなのでそのまま外れる。するとシャッターユニットが露出する。写真はレリーズ状態。

赤矢印のチャージリングは乗っているだけ、緑矢印のチャージハーフギアはピンがささっているだけなので外しておく。チャージリングにはバネがかかっているが、これはシャッター側のかかりを外しておく。



赤矢印のレリーズレバー、橙矢印のチャージリングストッパーもピンがささっているだけなので、バネのかかり方を確認してから外す。レリーズレバーはバネが黄緑矢印の場所で外枠にかかっている。この外枠は後ほど分離する。両方共、緑矢印で他の部品(バルブ用ストッパー)にバネがかかっている。

なお、水色矢印はチャージリングのバネがかかっていた場所。



外枠はこれから外れるので、外枠にかかっているバネを確認しておく。赤矢印と橙矢印のバネが外枠にかかっている。念のため、他のバネも全て確認しておくとよい。



ではシャッターと絞り羽根・シャッター羽根を分離する。赤丸のネジ3つを外し、そのまま金の外枠を引き上げる。



分離した。写真では間違えて前側を上にしてしまった。



シャッター側にはシャッター羽根が油で固着したまま張り付いていた。裏表から重なり方、組み込み時の最初の1枚目の位置を確認してから外し、ベンジンに漬けて洗浄する。洗浄すると全ての羽が分離した。羽根は見た目は5枚だが、実際は6枚だった。




絞り羽根は若干の油シミがあるのでこちらも洗浄しておく。羽根の重なり方、動き方、組み込み時の1枚目の位置、を裏表から確認してから、丸印3つのネジを外し、絞り羽根押さえリングを外す。



外したところ。



ついでなのでスローがバナーを外して洗浄する。部品を避けると出てくるネジx2を外す。右側のネジは接着ドメされていた。



全体をベンジンで洗浄し、ギアの軸とアンクルの足に注油する。組立の際は右端の稼働部品の位置に注意。間違えて中に折り込むとすべての速度設定で最速でシャッターが切れてしまう。



セルフユニットも外す。ネジx2。



同様に洗浄、注油する。



羽根はベンジンに漬けて洗浄。赤矢印の押さえリング、橙矢印のガイドリングもベンジンで拭いておく。



洗浄できたらエタノールで仕上げ拭きをし、絞り羽根から組んでいく。

ガイドリングを組む際、赤丸と緑丸の位置関係に注意。赤丸は橙丸のマニュアル絞りピンと繋がっている。橙丸を動かすと赤丸が同時に動き、緑丸の絞りガイドリングのピンを押して動かし、絞りを開く。なお、絞りガイドリングには常にバネによって絞り込む方向に力がかかっている。



絞り羽根の1枚目を置く。丸印は噛み合う組み合わせを示している。



1枚目を置いたところ。



2位枚目は反時計回りに上に重ねる。そのまま5枚すべて上に重ねていく。

他のレンズで絞り羽根の組み込みをやった時は、最後の1枚は、最初の1枚の下に潜り込ませる必要があったが、このレンズでは、最後の1枚は上から置くだけになっていた。ただし分解形跡のあるカメラなので、これが正しい配置なのかは分からない。

元通りに組み立ててしばらく使用し、問題はなかった。しかし思い直して再度分解し、最後の1枚は最初の1枚の下に潜り込ませておいた。



5枚とも置いたら、上から絞り羽根押さえをかぶせる。丸印5つ全てにピンを噛み合わせる必要があるが、最初はすこしずれるだろう。その場合は、羽根の中央の橙矢印あたりをつついて微調整する。全てのピンが嵌まれば、ネジを締めて固定する。



固定したら羽根がスムーズに動くかチェックすること。赤矢印のマニュアル用のピンと、橙矢印のオート用のレバーの両方で動かしてみる。



羽根を組む際、中央の穴から羽根が下に落ちてしまう場合は、羽根を少し開き気味にすれば落ちにくい。

それでも難しい場合は、裏から丸く切った紙をテープで貼り付け、穴を塞いでしまえばよい。




次にシャッター羽根を組んでいく。丸印は噛み合う対応を示している。

なお、シャッター羽根はピンなどの掴むところがないので、平らな場所に置くとピンセットで摘むのが難しい。そのため、柔らかい布の上などで作業するとよい。



1枚目を置いたところ。



2枚目以降は時計回りに上に重ねていく。このまま5枚目まで置いていく。



最後の6枚目(矢印)は、1枚目の上にそのまま重ねる。なぜ6枚目が必要なのかは分からないが、光漏れ対策ではないだろうか。



シャッター羽根をすべて置いたら、シャッターユニットから外側に部品がはみ出ていないか確認。出ている場合は中に押し込んでおく。その後、上から絞り羽根がある外枠を組み込み、ネジを締める。



組み込む際は、シャッター側にあるセルフレバーを、絞り羽根側のスリットにうまく差し込みながら組む必要があるので注意。



表のシャッター側にして、外枠にかかっていたバネを元に戻す。

シャッター羽根の動作確認は、赤丸のピンが矢印方向に動けばシャッター羽根が開くのだが、橙矢印のところでストッパーがかかっているので開かない。正攻法で行くなら、チャージリング、チャージハーフギア、チャージリングストッパー、レリーズレバーまで組み込み、チャージ、レリーズして確認する。

手っ取り早く確認するには、写真の状態で、緑丸のチャージハーフギアだけを差し込み、先の細いペンチなどで青矢印、反時計回りに回す。するとストッパーも一緒に回ってストッパーが外れる。そのまま橙矢印のあたりでストッパーがかかるので、そこまで回す。すると赤丸を動かしてシャッターを開くことができる。

この個体はベンジン洗浄で問題なくシャッターが開閉した。これでシャッターが開かない不具合の修理は完了した。



組み込む際は、先にチャージリングを嵌め込む。赤矢印の下にはピンがあり、これが橙丸の鳥の頭に似た部品を踏みやすいので、橙矢印の方に避けてから嵌める。

その後、チャージハーフギア、チャージリングストッパー、レリーズレバーを組み込む。チャージリングを後に組もうとすると、鳥頭を避けながら同時にストッパーも避け、更にハーフギアとの噛み合いを合わせる必要があるため、できなくはないものの面倒になってしまう。

後は逆順に組んでいけばよい。


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