minolta HI-MATIC 7の修理 - その他

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目次


底部のレリーズ・チャージ状態

レリーズ状態。Aはレリーズシャフトが出てくるギアの穴。チャージで180度回転するので、反対側にも同じ穴がある。。この位置が合っていないとレリーズボタンが押せない。

チャージ操作を行うとBが右に回転する。それがギアやクランクを伝わってCのレバーを左に動かす。それに押され、レンズから出ているDのチャージレバーが左に移動し、チャージされる。




チャージ状態。

D:チャージレバーは左に移動するときにE、Fを一緒に押す。するとFの一部Faが、右に回るギアGとぶつかってチャージを制限する。

E、Fは常に右方向に力がかかっており、Dがレリーズ動作で右に戻ると、一緒に右に動いてレリーズ位置に戻る。



最短撮影距離の短縮化改造

レンジファインダーカメラの欠点として、最短撮影距離が遠いというものがある。このカメラも最短が90cmと遠いので、実験として最短距離を短縮する改造を行った。

方法は簡単で、距離環の最短側制限を削るだけ。距離環側面のセットネジを外し、中ヘリコイドBと分離。写真の赤点線部分を削った。

削る量は、内ヘリコイドの余裕、直進キーの余裕、中ヘリコイドのU字穴から決定した。内ヘリコイドはまだまだ大丈夫だったので、他の2つを基準に調整した。この改造により、最短位置で直進キーは直進レールとツライチになるギリギリ。中ヘリコイドも他の部品に衝突する直前になった。



組立時、中ヘリコイドBが無限位置で直進キーにぶつからないギリギリの位置になるよう、中ヘリコイドAとの位置関係を変更する。ネジx6を緩める。直進キーの横にはビニル線が通っているので、少し余裕をとり、U字穴の端が矢印の位置にくるようにした。



最短側は矢印のギリギリの位置にU字穴の端が来るようになった。これ以上中ヘリコイドBが左に回ると、オート連絡バーを取り付けるピンにぶつかってしまう。

結果、最短撮影距離は60cmにまで短縮できた。30cmの短縮は大きい。が、距離計との連携を失念していた。65cmくらいまでは二重像が追従し、フォーカスを合わせることができる(フレーミングは大きくズレる)。しかし残り5cmは二重像が動かない。わずかに距離計の限界を超えてしまっていたようだ。



CdS周りの清掃

CdS周りを清掃する。側面のネジx3を外す。写真以外のネジはビニル線押さえになっている。



クリック感板バネを固定しているネジを外す。右側のカニ目ネジは外さなくていい。たぶんクリック感の調整用だろう。



板バネは2枚重なって入っていた。



3つに分離した。清掃する。Aの乳白色フィルムの裏側にはCdSが取り付けられている。Bはレンズの裏側。

点線で示したのはクリック感部分。CdS周りはプラスチック製なので、シリコングリスを塗り替えておく。



CdS自体ははめ込み接着なので、アセトンで接着を緩め、ペンチで掴んで少し左右に回せば外れる。CdSのすぐ前にプラスチック製の乳白フィルムがあるので溶剤の入れすぎに注意する。

矢印の穴からはCdSの側面と前面が見えている。外れにくい場合はここにも少し溶剤を入れるといいだろう。



CdSを外したところ。穴の奥にある乳白色のフィルムは1点で軽く接着されている。CdSの前面と乳白色フィルムも清掃する。

CdSは金属パッケージ。細い部分はφ6.1。太い部分はφ7.5。厚みは4.51。



乳白色フィルムを取り出した。艶面が前側、マット面が後ろ側(CdS側)だった。

CdSが弱ってメーター値が上がらないときは、とりあえずの対処として、この乳白色フィルムを外してしまってもいいだろう。


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