minolta HI-MATIC 7の修理 - ヘリコイドグリスの交換

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ヘリコイドグリスを交換する。

写真はレンズボード後ろ側で、レンズボードとヘリコイドだけの状態。距離リングを回して無限遠にし、外・中・内ヘリコイドをマーキングする。念のため2本ケガいた。外ヘリコイドはレンズボードと一体。



無限遠での回転角度だけでなく、ヘリコイド間の前後関係位置も写真を撮影して記録しておく。



前側から分解していく。中ヘリコイドは、内ヘリコイドが取り付けてある部分(中ヘリコイドA)と、距離リングが取り付けてある部分(中ヘリコイドB)の2つのパーツから構成されている。丸印のネジ6つでこれらが分離する。ここを外すと組み立て後に無限遠の調整が必須になる。可能なら中ヘリコイドAとBもマーキングしておく。後で調整するので今回は端折った。



外したところ。無限最短制限金具は、距離リングの写真裏側にぶつかる部品がある。



中ヘリコイドBと距離リングを裏返したところ。丸印が無限最短制限金具にぶつかって距離リングの回転を制限する。



中ヘリコイドBは後ろ側からしか抜けないので、邪魔になる矢印の部品を外す。丸印のネジ2つで外れる。下側のネジは貫通ネジ。前側に黒いヘリコイドのガイドと思われる部品が取り付けられており、これが脱落する。



部品を外して中ヘリコイドBを抜いたところ。外・中ヘリコイド間にはネジ山がなく、単に筒同士が滑る仕様。



次に中・内ヘリコイドを分離する。通常は内ヘリコイドを「反時計回り(左回り)」で締め込んでいって、最後まで行って止まったところをマーキングするのだが、このカメラは締め込むとそのまま向こう側に抜けてしまう。

なので、中・内ヘリコイドの前側がツライチになったところを終端とし、中ヘリコイドの無限位置に合わせてケガく。厳密にやらなくても、机の上で内ヘリコイドを締め込んでいって、机に当たったところをツライチとすればいいだろう。この場合は無限位置から約45度右回りに戻したところが終端位置になった。



準備ができたら内ヘリコイドを「時計回り」で後ろ側にゆっくり外していく。そして抜けた瞬間の位置を中ヘリコイドの無限位置に合わせてマーキングする。終端位置のケガキと間違えないように、対面の筒内側に「V」の字にケガいておく。この場合は終端位置から約45度で外れた。なお、逆に回すと終端位置から180度弱で前側に外れる。



全て分離したところ。後はベンジンで古いグリスを落とし、乾燥後、新しいグリスを塗る。

古いグリスを落とすのはスポンジが使いやすい。しつこいグリスは歯ブラシを使う。新しいグリスを塗るのは面相筆。

前回まではジャパンホビーツールのヘリコイドグリスを使っており、現在のところ問題なく、使用感も良い。しかしグリスの容器を開けたところ、オイルが分離しており、容器の外側にまでオイルが回っていた。ヘリコイドに塗る程度の量では問題ないのかもしれないが、不安があるので、今回は実験的にグリスを変えてみることにした。

使ったのは手持ちのシリコングリス。ただしそのままでは粘度が高すぎるので、シリコンオイルを混ぜてよく練り、柔らかくした。粘度はジャパンホ ビーツールの#30に合わせた。どちらもホームセンターで売っているので入手性が良い。今のところ問題ないが、定期的に確認する必要はあるだろう。

他にもネットで探すと三脚や望遠鏡用のグリスが通販で手に入るので、機会があれば試してみたい。安価な上に、成分が「シリコングリス(基油シリコンオイル)」とはっきりしているので、自分で調整しやすそうだ。



組み立て後の無限遠の調整を簡単に説明しておく。まず丸印のネジ2つを外して、距離リングのノブを外す。




ノブと一緒に距離値板も外れる。距離値板の下から丸印のセットネジが出て来る。このセットネジは距離リングの周りに4つあり、これが距離リングと中ヘリコイドBを固定している。

無限遠の調整を行うには、まず裏蓋を開けてピントグラスを貼り、無限遠にフォーカスを合わせる。距離リングを無限側制限に当たるまで回しても無限遠にフォーカスが到達しない場合は、一旦セットネジを緩め、距離リングを近距離側に少しだけずらし、再びセットネジを固定。再度、距離リングを回して無限遠にフォーカスを合わせる。

無限遠にフォーカスが合ったらセットネジを緩め、ヘリコイドの状態を変えないようにして距離リングだけ回し、無限側制限に当てる。そしてセットネジを締めて固定すれば調整完了。

セットネジは脱落すると探すのが大変なので、調整時、上側の1つ以外は上からマスキングテープで保護するか、外してしまうと良い。

無限遠の調整は『共通の修理方法 - レンズの無限遠調整』を参照。


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