シャッターユニットの分解 - OLYMPUS Pen FTの修理

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シャッターユニット

ボディ側を分解していく。ファインダーがあった部分に劣化したモルトプレーンがあるので張り替えておく。



シャッターユニットを分離していく。

裏蓋を開いてネジ×1を外す。左側のネジは外さなくてよい。



前側からネジ×3を外す。これでシャッターユニットが分離する。



ネジ穴には黒い塗料が塗ってあった。光線漏れを防ぐためか。



シャッターユニット裏側。半円形のシャッター板が見える。油で汚れている。非常に薄い金属板なので曲げてしまわないよう注意。

このシャッター板が1回転することでシャッター秒時を作っている。初めて見るタイプで、ネットの情報によると「ロータリーシャッター」というもの。

シャッター板ユニットを外す。ネジ×3。



前側からネジ×1。



分離した。

シャッター板が油で汚れていたので全体をベンジンで洗浄した。ここの二つのギアの回転軸はこすれる面が広いので注油をスキップしたところ、組み立て後にシャッター速度が低下してしまった。

最初モリブデングリスを注油したところ、更にシャッター速度が低下した。グリスは粘度が高いので、秒時にかかわる部分には向いていないのかもしれない。

軸周辺とギアの歯にラウナオイル#40を注油したところ、1/250以下の速度は正常に戻った。しかし1/500だけは1/330と遅い。分解前のシャッター速度計測を怠ったため、元の速度は分からない。

シャッター板に鍵穴のクスリの粉末を振り掛けてみたが、白い粉が飛び散るだけで速度に変化はなかった。

(追記)後日、軸のオイルをラウナ#40より軽いミシンオイルに変えてみたが、速度は変化しなかった。後述する高速回転カムのバネを1回転多く巻いたところ、1/500が1/400くらいまで改善した。しかし1/250以下が速くなりすぎ、シャッター音と衝撃が不自然に大きくなったので、元のテンションに戻した。



ここでテストでシャッターを切った際、中央付近から部品がはじけ飛んだ。秒時を決める重要な部品。

部品が割れてしまっている。t0.65。後で写真を見返して気付いたが、最初からこの部品には亀裂が入っていた。個体Xの修理はあきらめる。



部品破損の都合上、ここから個体XとYの写真が混在する。基本的に同じなので問題ないだろう。

先ほど破損したS1は、個体Xでは軸の中心を叩いて圧力で固定されていたが、個体Yでは軸の端を細かく潰して押し広げて固定してあった。

左側のスローガバナーを外す。ネジ×3。右上のネジは部品S1(先ほど破損した部品)に隠れているので、S1を少し避けてネジを外す。右上だけ鍋ネジ。他は皿ネジ。





裏返すとアンクル注油用の穴がある。動きが悪い場合はベンジンで洗浄後、軸受けとアンクルに注油する。



スローガバナーの取り付け時は矢印の部品の位置に注意。そのままだとバネの力で外側に出ようとするので、押し込みながら取り付ける。



取り付け時は丸で囲った部分の部品の位置関係を確認する。

S2のピンがハーフギアS3にリンクする。

S4がS5を左に押せるような位置関係にする。



シャッターユニット取り付け時、ユニット裏側の一番下にあるチャージ関係のギア群の歯にはしっかりモリブデングリスを塗っておく。

クラウンギアは相当擦り減っており、注油してもチャージ時のゴリゴリした感触は改善しなかった。


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