巻き上げ系の分解 - OLYMPUS Pen FTの修理

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巻き上げ系の分解

巻き上げ系も分解清掃していく。底のギアカバーを外す。ネジ×2



矢印の部品のバネの掛かりを外して避けるとギアが外れる。



ギアを外した。

トップカバーを外す際、巻き上げレバーの下にあるネジを外す必要があるが、巻き上げレバーが動かない不具合が発生した時はネジにアクセスできなくなる。

その場合はこのギアを外すと巻き上げレバーが動くようになる。



ギアの裏側にリンクする場所がある。

矢印の部品はカニメがあるので外せそうに見えたが、硬かったので諦めた。このままグリスを拭き取るだけで十分だろう。



枚数盤を外す。ネジ×1。



枚数盤の裏にはバネがあるので注意。丸印の場所にかかっていた。



枚数盤を左右に裏返した。バネは丸印同士でリンクしていた。組み立て時は1週程度バネを巻いてから固定する。

バネの反対側は矢印の位置にかかっていたらしい。接着剤で固定されていたらしいが、外れている。矢印の部品は枚数のゼロリセットで止める役割もある。

次のギアもそのまま外れる。





外したギアを裏返した。裏表に子ギアが付いている。巻き上げるとギア9が右に回転する。それが10に伝達する。

10aは11とかみ合っており、10aは11の周りを回る。11は14歯。



枚数盤の裏側のギア12は13歯。10bは12の周りを回る。10aと10bは同じ歯数で10の回転とともに一緒に回転する。11と12で歯数が違い、動かない11の方が歯数が多いため、固定されてない12は歯数が少ない分、10bに押されて回転する。これで巻き上げごとに枚数盤を進めている。



最後のギアもそのまま外れる。

次にカウンター係止部品を外す。ネジ×1。部品の隙間、赤点線の位置にバネがかかっているので確認しておく。



バネも外しておく。



枚数盤の台座を外す。ネジ×2。カニメネジ×1。Aは長い鍋ネジ。Bは短い皿ネジ。矢印の位置に台座の裏側から伸びるバネがかかっているので注意。

Bは巻き上げレバーの軸の中心になっている。個体Yではこのネジが外れなかったのでピンバイスで破壊し、オリジナルと同じM1.7のネジを切って対応した。



台座の裏側に大きいワッシャーが貼りついていたので回収しておく。組み立て時はベアリングユニットの上にかぶせる。

バネと矢印のワッシャー(個体Yにはない)を回収しておく。バネの端は丸印の突起にかかっている。

組み立て時、先にこのバネをレバーの突起と台座の端に掛けてから組み立てようとすると、曲がったバネに台座が当たってうまくはまらない。そこでバネはレバーの突起にだけかけておく。台座を中央のネジで固定し、台座の下の隙間からバネ掛け工具でバネを引っ張ってきて台座の端を掛けるとやりやすい。

次に巻き上げレバーを外す。中央のベアリングユニットはグリスでくっついているだけ。鋼球は見えている表側に6個、裏側に6個ある。いずれも固定されていないので注意する。



台座の裏側。ワッシャーが貼りついている。



鋼球が1つボディ側に残ったので回収しておく。矢印は巻き上げレバーの裏側の突起に押されて回転する部品。



巻き上げレバーの裏側。矢印の突起が先ほどの回転部品を押す。組み立て時はこの突起を引っ張って回転部品とリンクさせること。



ベアリングユニットはグリスで貼りついているだけなので、そのまま外れる。

更に中央の筒、プラの鋼球台座、鋼球×12、と分離する。



矢印の部品は丸印の二箇所で軽く接着されているので、ゆっくり外す。



巻き上げレバーの台座を外す。ネジ×2。



矢印の部品(裏蓋スイッチ)が分離する。



ワッシャーを回収しておく。次に巻き上げユニットを外す。ネジ×3。



フィルム室内のフィルム巻き上げ筒も外れた。ネジはフィルム室内に貫通しており、内部からは黒い塗料が塗られていた。

よく見ると右端のネジが折れていた。オリジナルと同じM1.7でネジ山を切りなおし、予備のネジで対応した。



巻き上げユニットを裏返した。巻き上げレバーの操作と巻き上げ軸はバネの摩擦で接続されている。巻き上げ軸と巻き上げ筒は、丸印の突起と筒の切り欠きがリンクしている。

筒の底側はなにもなく、滑っているだけ。

ほぼすべて分解したので、あとは部品を洗浄し、注油しながら逆順に組み立てる。巻き上げ系はギアの歯や巻き上げ軸のバネ、その他強くこすれる部分にしっかりモリブデングリスを塗る。



組み立て時は巻き上げユニットを初期位置に戻すが、そこでストップさせるのはこの部分。AのバネがBに当たる。逆方向はバネが下がってストップしない。


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