トップカバーの分解 - Canon 7の修理 - mglss studio photography

シャッター制御部の仕組み - Leotax Tの修理

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シャッター制御部の仕組み

トップカバーの内部はシンプル。A:距離計ユニット。B:接眼ユニット。C:シャッター制御ユニット。

この後の動作確認のため、巻上ノブを取り付けておくとよい。その際は枚数盤、金色の台座、巻き上げギアも取り付ける。



速度ユニットだけ簡単に機能を見ておく。シンプルな機構。

1:速度ダイヤル。1aの下側にピンがあり、3:速度設定盤の穴にはまっている。1を引き上げて回し、どの穴にピンをはめるかで速度設定をしている。

シャッターが切られると、1は先幕と連動して右に回転する。同時に後幕と連動する2も回転しようとするが、すぐ4aにぶつかって止まる。4は常に矢印方向に力がかかっている。

先幕が走っていき、1bが4aにぶつかると、4が押されて写真下方向に移動する。すると2が動けるようになり、後幕がスタートする。

つまり1の速度設定は、1bの初期位置を決めている。初期位置から4aにぶつかるまでの距離が短いほど後幕が早くスタートし、シャッター速度が早くなる。

スローでは6:スローダイヤルの設定によって5が前後に移動する。5はポールを通じてボディ底部のスローがバナーにつながっている。速度が遅いほど後ろ側(写真下方向)に移動する。1bが4aを蹴って後幕がスタートした直後、2:後幕カムの軸の反対側の2a(写真では見えにくい。3の穴から一部だけ見えている)が5にぶつかる。5は2aに押され、スローガバナーの力を受けながらゆっくり右に移動する。5が2aの動作領域から外れると2が一気に回って後幕が走る。

5はチャージでは下に下がって2aの動作領域から外れている。レリーズで1が一定角度回転すると、5は上に上がって2aに動作領域に入る。高速域では2aが5の位置を通り過ぎてから5が上に上がるため、5が2aを阻害しない。

'B' では先幕が走り、1bが最後まで回転して止まった位置が4aの直前になるため、1bが4aにぶつからず、後幕がスタートしない。4は普段は上に上がっており、2の動作平面から外れているが、レリーズボタンを押している間は4が下がって2の動作平面に入る。このため、レリーズボタンを押している間は2を係止して後幕を止めており、レリーズボタンを離すと2の係止が解除されて後幕が走り出す。

'T' はスローの機構を利用している。このモードでは5がかなり写真下方向に来るため、5が2aに押されると5が7にぶつかって止まる。6:スローダイヤルを回すと5が写真上方向に移動し、7による係止が解除されて5がスローの力を受けて動き出す。あとはスローの場合と同じ。

おそらく4aは偏芯ネジで速度調整できるのだろう。7はネジ穴に余裕があり、 'T' で5をちょうど係止する位置に調整できるようになっている。

組立時に清掃し、強く擦れたりぶつかったりする位置にグリスを塗っておく。



参考記事ではトップカバーを外した時点でファインダー周りを分解清掃している。しかし距離計ユニットはこの時点で外すものではないそうなので、後回しにしてボディカバーを分離していく。

シンクロレバーを外す。ネジ×1。





前側のネジ×2を外す。



ボディと外カバーを引っ張ると上下に分離する。



カバー側に圧板と、その裏側にバネ×2が残るので回収しておく。

圧板は上下に違いがある。下側はフィルムが入りやすいように下端が斜めになっている。



革から強いカビ臭がするので、革用クリーナーで清掃する。COLUMBUSの「LETHERIAN LOTION」を使用した。カビ臭は低減したが、今度はシンナー臭が強いので、清掃後は風通しの良い場所で臭いが抜けるまで放置する。



カバー内側に遮光用と思われる植毛紙がある。カビが生えているので張り替えておく。52.5x3.5。植毛紙がはまる溝は4mm幅で、0.5mmの余裕がある。植毛紙はカバーの上側は端まで貼られているが、下側は5mmほど空いている。




底カバーを外す。ネジ×3。



シンクロ関係の部品が現れる。

丸印はシャッター幕のテンション調整ギア。矢印の金具は底蓋ロック用の部品。



底部のメカニズムを見ておく。写真はチャージ状態。

チャージするとB3が右に回転し、B3aの窪みがB1bに係止される。B1は常に矢印α方向に力がかかっている。

レリーズボタンが押されるとB2:レリーズプレートが下方向(写真手前方向)に押されて持ち上がる。

B2に接触しているB1aは斜面になっており、B2が持ち上がるとそれに押されて矢印β方向に移動する。するとB1bの係止が外れてB3が左に回転してレリーズする(先幕が走る)。

B2はトップカバー内の部品4(後幕カムを係止する部品)とポールを介してリンクしており、4の動作平面移動の役目もある。

B3は上下二段のカムになっている。上段のカムはシンクロ用。カムがB4aを、B3bのピンがB4bを押してシンクロ部品B4の角度を変更する。

B4はB4cでシンクロ接点B5aとB5bを、状況に応じてショートさせる。シンクロについては知識がないのでよく分からないが、レリーズ開始直後に一瞬だけB5bをショートさせた後、レリーズ完了でB5aがショートするようだ。

B6はB1と同じような動きをする部品。役割はB1とは逆で、レリーズボタンが押されている状態での巻き上げを阻害する部品。レリーズボタン押下でB6aがB2に押されて移動する。すると反対側のB6bがB3の下段カム面に引っかかって回転を阻害する。

B7はスロー関係のプレートで、次項で説明する。



レリーズ状態の写真を示しておく。



次に前板を外す。その前に丸印の穴から見えている部品の位置関係を確認しておく。銀色はスローガバナーの部品。茶色は前板の裏側にある部品。


前板の分離

確認できたら前板を外す。ネジ×5。



前板を外す際、距離計コロが引っかかるのでうまく避ける。



外したところ。

前板裏側、遮光筒の上下2箇所にテレンプがある。劣化していないのでこのままにする。


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