トップカバーの分解 - Canon 7の修理 - mglss studio photography

調整 - Leotax Tの修理

←1つ前の記事 次の記事→

↑INDEX


幕が走る状態まで組み立てたら高速側の(スローガバナーを使わない)シャッター速度の調整をする。

露光フレームにシャッターテスターを貼り付け、左右端の2点で露光時間を計測しながら底部下側のテンション調整ギアでテンションを調整する。

A:先幕, B:後幕。左に回すとテンションが強くなる。

テンションを弱めるときは、かかっているバネを一旦避け、ギアを右に回す。バネを避けるとギアが一気に右に回ろうとするので、ギアのスリ割りをドライバーで押さえながら避ける。先幕はバネが強いため注意が必要。

幕速の調整はどの機種でも難しく、コツのようなものは分からない。速度設定は最高速から始め(この機種では '1/500')、とりあえず適当にテンションをかけ、2点での露光時間を計測する。テンションを調整して2点での時間を合わせる。

2つの計測点のうち、バネ軸側の露光時間が巻上側より長いなら、後幕が先幕より遅いので、後幕のテンションを強める。逆の場合は後幕が先幕に追いついてきているので、先幕のテンションを強める

2点での露光時間がだいたい合ったら理想値と比べ、長ければテンションを強めて幕速を速め、短ければ弱めて幕速を遅くする。

また2点での露光時間を合わせ、理想値と比べる。これを繰り返し、概ね理想値と合えばOKする。最高速が合えば、それより遅い速度は自然に合うと思ったが、そうでもないようだ。全体がだいたい合うところで妥協するしか無いだろう。

シャッター速度は、基本的に先幕のテンションで制御する。これは先幕が走りながら後幕の係止を外すため。先幕が速いほど、後幕のスタートが早くなる。

通常は先幕のテンションが弱いとシャッター速度が遅くなるが、弱すぎると逆の現象が起きることがある。テンションが弱すぎるため、後幕をスタートさせる際の衝撃で減速してしまい、後幕が先幕に追いついてシャッター速度が速くなってしまう。



高速側の調整が終わったら、次に低速側を調整する。

調整はスローダイヤルを分解して行う。セットネジを緩めてからノブを左に回して外す。



中央の黒いネジを緩める。



見やすさのため、ここでは中央のネジを外しているが、緩めるだけでいい。

金色のカニ目ネジの締め込み具合で低速域の調整ができる。右に回すと遅くなる。

これは裏側にあるカムの出っ張り具合を調整している。

調整したら中央のネジを締めて固定する。

幕を走らせて計測し、また調整するときは中央のネジを緩めてからカニ目ネジを回して調整する。



スローを調整すると、'T' で後幕が止まらなかったり、 '1' が 'T' になってしまうことがある。

そのときは7の位置を調整する。ネジの取り付けに余裕があり、調整できるようになっている。

'T' では5が7に係止され、'1' では係止されないギリギリの位置にすればよい。



なお、スローダイヤルは金色のカニ目ネジを外すと更に分解できる。しかし四角い接合部を撃ち抜く必要があるので、不具合がなければそのままにしておくのが無難だろう。


←1つ前の記事 次の記事→

INDEX