
絞りカムを外す

矢印の感度カムを外す。 このカムは70-2_bを押してメーターの追針を移動させる。 絞りカムと感度カムは油で汚れていた。 ここに注油は必要ないと思うので、組み立て時は無潤滑とした。 10:絞りカムの取り付け時は76_aを踏まないように注意。

速度ダイヤルを外す。 角度によっては他の部品に引っ掛かるので、写真の角度に回転させてから少しずつ引き抜く。

右19_aの渦巻き部分は、左のL1_bを押す。
右20:速度カムは、左48-4:ピンを押す。 このピンはスローガバナーの一部。
20は19からそのまま引き抜いて分離できる。 19を外す角度を合わせたのは、角度によっては20がL3_aの下に潜り込んでいるため。
20_aは速度カム調整用の偏心ネジ。他の速度は前板裏側で調整するが、1/15のみ、このネジで調整する。 後述するが、前板に19を取り付けた状態で、前板の裏側からこのネジにアクセスできる。
全体的に黒いグリスで汚れている。動きを見ると、このグリスでBulb用のL3が前板に貼りつき、戻らない場合がある。 20は強くこすれるのでグリスを塗り替えたいところだが、貼りつきを避けるため、フッ素ドライルブでごまかす。
19の取り付け時はL4_aのピンを逃がしながら軸に入れる。

前板を外す。 ネジ×4。 右上だけ違うネジ。過去に修理されたと思われる。

黒いプレートを外す。 役割は分からなかった。 保護用かもしれない。
右上のバネはテンションがかからない状態になっているため、紛失しないよう外しておいた方がよい。

前板が分離した。 リペアマニュアルでは丸印にシムがあるはずだが、この個体にはなかった。 121は上部から見えていた部品の一部で、上部での「巻上ストップ/解除」に関するもの。

前板の機構のうち、レンズブロックと関連する部分を見ておく。 写真はレンズブロックの裏側。 上下を裏返して置いた。
5_aはシャッターピン。 上方向に力がかかっており、羽根は閉じている。 下に動かすとシャッター羽根が開く。 12は絞りと連動する部品。 絞りが閉じた状態で、閉じ方向(写真左回転)に力がかかっている。 右回転させると絞りが動く。

前板側。 67はシャッター用で、レンズ側の5_aとリンクする。 65は絞り用で、レンズ側の12とリンクする。 76_aは絞りダイヤルに押されて下に移動する部分。上方向にバネの力がかかっている。 76全体も同時に移動し、前板の裏側で65にリンクしている。

前板裏側。 こちらも部品が前板とグリスで貼りつき、動きが悪い。 表側の76がこちらからも見えている。 76に合わせて65_aが上下に移動する。 すると65_bを中心に回転し、レンズの絞りを動かす。

レリーズ状態。
ピン33-1_aを右に動かすと、33-1_bがL2_aに掛止されてチャージ完了。 同時に33-Eが左に移動。
33-Eは同時にボディ側のアーム121を押し、トップカバーの部品にチャージを伝える。 スローガバナーの48-5は下方向に力がかかっているが、それを止めていた33-E_aも左に逃げるので、48-5は下に移動する。

121は33-Eが押すボディ側のアーム。 これにより上部の部品が左に動き、巻き上げを止める。

チャージ状態。
レリーズシャフト28_aを押すと、28_bがL2_bを押してレリーズ開始。 39_bは掛止が外れて強い力で左に戻ろうとする。 同時に33-Eが右に移動する際、33-E_aが48-5を押しながら移動し、このときスローガバナーの力を受ける。 同時に33-2_aが右に移動しながら62_aを押す。 ここでシャッターが開く。

レリーズ途中(実際はBulb状態)。 33-E_aが右に移動中、48-5に当たってスローガバナーの力を受けている。
33-2_aが62_aを右に押してシャッターを開けている。 33-2_aが通り過ぎると62_aが左に戻り、シャッターが閉じる。
Bulb時、シャッターボタン押下でレリーズ動作が止まるのは、L2_cが上に逃げるため、上方向に力がかかった表側の部品L3_bが移動し、48-4が右に移動するのを表側で妨害し、スローガバナーの動作が止まるため。

Bulb状態の表側。 レリーズでスローガバナーの一部48-4が左に移動しようとするところを右に移動しているL3_cが妨害する。 バルブ以外ではL3_aが速度カムに邪魔されるため、L3_cが移動できない。

速度ダイヤルの裏側。 Bulb時のみ、L3_aが矢印の谷間に落ち込み、L3_cが48-4を妨害できる。

沈胴の動作を見ていく。チャージ状態。
レンズの収納には沈胴筒を少し右に回転させる必要がある。 レリーズでは33-3が沈胴筒73_aを妨害して回転できないが、チャージで33-3が移動するため妨害が外れる。 妨害はもう一つあり、79_bが73_bを妨害している。 これは78が下に押されることにより79_bが移動し、妨害が外れる。78はトップカバーの沈胴ボタンから伸びるフォーク状のシャフト41とリンクする。

沈胴ボタンを押した状態。 チャージにより73_aの妨害が外れた状態で、79_bが移動して73_bの妨害も外れたので、沈胴筒が回転できるようになった。

沈胴筒を回転したところ。 板バネL4、L5の中に挟まれていた73_c、73_dが露出し、沈胴できるようになった。このまま沈胴筒を抜き取れる。
沈胴状態では79_bがレリーズシャフト28を妨害し、レリーズボタンが押せないようにしている。 また、73_bに阻害されていた25_aも同時に下に移動するので、25_bも下方向に移動する。 25_bは79_cを掛止して79_bが元の位置に戻るのを阻害する。

逆に沈胴筒を元に戻すときは、73_bが左回転して25_a、25_bを押すため、79_cは掛止が外れて左に戻る。 同時に79_bも左に移動するので、28の阻害が外れる。

沈胴筒を抜き取った。

ガイドフランジの内側にフェルトが貼られている。 これによりレンズの出し入れで適度な抵抗を作っていると思われる。 沈胴がスカスカなのは、ここが薄くつぶれているためだった。

フェルトはそのまま外れた(注意:後で分かったが、ここは外すべきではなかった)。 フェルトは劣化しておらず、軽く揉むと膨らみが復活した。 更にその下に茶色い紙がある。抵抗感の調整用だろうか。 93×4mm。

紙もそのまま外れた。 茶封筒の素材に似ている。 フェルトも紙もそのまま外れ、接着跡は見当たらない。

組み立ての際、元通り接着なしにしたかったが、沈胴筒を取り付ける際にどうしてもフェルトがひっかかって外れてしまう。 やむをえず、何点かG103で接着した。 それでもフェルトが引っかかるので、3Dプリンターでフェルトを押さえる治具を作成し、なんとか沈胴筒をはめ込んだ。 ここは必要がない限り外さない方がいいだろう。 後で思いついたが、新しいフェルトを万力でしばらく抑えてペタンコにしてしまい、膨らむ前に取り付けてもよかったかもしれない。

スローガバナーを外す。 ネジ×2。ネジCは速度調整用の偏心ネジなので外す必要はない。。
なお、リペアマニュアルに書かれている速度調整方法は次の通り。
1/500:31のバネをかける場所が2つあるので、その位置を変更する。
1/125(1/250~1/60):偏心ネジCを回し、スローガバナーの位置を調整する。
1/30:49のレバースプリングを曲げる(?)。
1/2:48_aを曲げてアンクルのかかりを調整する(破損注意)。
1/15:前述通り、速度ダイヤルのカムを偏心ネジで調整する。写真の状態で速度ダイヤルを取り付けると、Eの穴から偏心ネジにアクセスできる。
1/2の調整は注意。古いカメラは既に何度も調整されており、金属を曲げると前兆なく折れる場合がある。 この個体は1/2がかなり遅かったが、調整のリスクが大きいうえ、前板状態で速度計測するには何らかの固定治具を作る必要があるので、今回はスキップした。

スローガバナーはかなり動きが悪い。 ベンジンに漬けて何度か動かして洗浄するとスムーズになった。
リペアマニュアルではこの部分の注油については何も書かれていない。 一応セオリー通り、軸受けや固定軸と軸孔の間にミシンオイルを極少量、注油した。 アンクルの足は無潤滑だと動きが悪いので、フッ素ドライルブで潤滑した。
前板については古いグリスを洗浄し、新しいものに塗り替えれば完了。 部品が貼りつき気味だった部分は無潤滑かフッ素ドライルブで代用した。

組み立て時は48-5が飛び出ており、引っ掛かる。 48-5を押し縮めた状態で取り付け、そのままネジを締めてしまえばよい。