ミラーユニットのメカニズム - OLYMPUS Pen FTの修理

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ミラーユニットのメカニズム

まずは大まかな動作を見ていく。

巻き上げるとシャッターがチャージされる。巻き上げレバーの力は複数の部品を伝わり、矢印のギアが回る。このギアがミラー側のギアとリンクする。



ミラー側。

巻き上げ時、矢印のギアがシャッター側のギアとリンクして回転する。

穴あきの円盤の回転はミラーの開閉と連動する。チャージ中は写真の位置で係止されており動かない。この穴あき円盤はチャージ前からある程度、初期テンションがかかっている。



写真上が前板のミラーユニット。下がボディ底部。

レリーズボタンが押されるとボディ底部のB1が右に移動し、B2aでリンクしているB2を右に押す。

B2bがミラー側M12aを右に押すと、M12bが移動し、M10aの係止が外れてM11が一気に左に移動する。M11はレンズ側の絞り込みレバーと連動しており、レンズが絞り込まれる。

同時にM1が左に半回転し、ミラーが閉じる。

M1の回転でM13が左に移動する。M13はシャッターユニット側にリンクしており、シャッターの動作を開始する。



ボディ側はAが左に押されるとシャッターが動作を開始。シャッターが開き、設定秒時後にシャッターが閉じる。



シャッターが閉じるとカムに押されてBが右に動き、ミラー側にシャッター動作完了を伝える。



シャッター側からミラー側のM14aが右に押される。するとM1が左に半回転して元の位置に戻り、ミラーが閉じる。

これで一連のレリーズ動作が完了する。



ユニットのカバーを外したところ。

単体では動作確認が難しい。理由は強いテンションがかかる巻き上げ系のM3の係止がないため。ボディに取り付けていれば巻き上げ後にM3が逆転せず、正常動作する。

M1は長孔でM2に固定される。M2は裏側まで貫通しており、裏側でミラー制御ピンを操作する部分に繋がる。

M1が回転することにより、M2を介してミラーの動きを制御する。M1の穴にはM3内部から出るバネの先端がかかる。これでM3とM1間にはバネのテンションがかかる。



もう少し詳しく見ていく。レリーズ初期状態。写真下側はユニット裏側。

チャージでボディ側ギアとリンクするM3が左に回る。M3とバネで繋がっているM1は裏側で係止されて動かないため、M3とM1間にバネの力がチャージされる。これがミラーのチャージになる。

M1の係止は、M1→M2、裏側でM2→M4→M5と繋がっており、M5aは矢印方向に動こうとするが、M6aで係止されている。M6の係止部分が隠れて見えないので、青線で形状を表した。

M5の長穴にはミラーのピンが入る。ここでミラーの開閉を制御している。M5のバネは写真ではM4にかかっているが、実際はミラーのピンにかかる。

M3の側面はカムになっている。カムの形状を青線で表す。チャージでM3が回転するとM7:コロが回転しながら右回り方向に押される。

M7の反対側M8も右回りに移動し、M8がそのフォークで挟んでいるM9も一緒に移動する。

M9とM10はバネで接続されている。M10は係止されており移動しないため、M9とM10間にバネの力がチャージされる。M9はM8の裏側でM15に係止され、チャージ完了となる。M8に隠れたM9とM15の形状を青線で表した。

M10はM11絞り込みレバーと接続されている。つまりこれが絞り込みレバーのチャージになる。



M3のカム面の写真。



チャージ状態。M10のM10aがM12に係止されている。

レリーズボタンを押すと底部のB2:プレートによってM12aが右に押され、M10の係止が解除される。

するとM11:絞り込みレバーが一気に左に動いてレンズを絞り込む。

裏側ではM11aが右に動いてM6bを蹴り、M6が右に動いてM5aの係止を解除する。するとM5が動けるようになるので、M5→M4→M2→M1と繋がっているM1は一気に左に半回転する。M5の長孔にはまっているミラーのピンが動き、ミラーが閉じる。



写真はミラーが閉じた状態。

ミラーが閉じる際、M1の回転により裏側でM5が右に移動し、M13aを押してM13を移動させる。M13はシャッターユニット側とリンクしており、これでシャッターが動作をスタートする。

M1はそのまま回転しようとする。裏側でM4クランクの動作によりM5が左に戻ろうとするが、M14で係止される。これによりシャッターユニットの動作が終わるまでミラーが閉じたままに保たれる。

ボディ側のシャッター動作が完了すると、ボディ側からM14aが押される。するとM5aの係止が解除される。これでM1が再び回転しだし、ミラーが開く。

M1が回転する途中。クランクM4がM15aを押し、表側のM9の係止を解除する。これで絞り込みレバーが初期位置に戻る。

以上で一連の動作が完了する。



M4がM15aを押すところ。


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